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自分で権利を持つという意味。

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ここのところの何枚かのアルバムは、自分の会社「Family Tree」で作っている。社長はうちの旦那監督。自分で作るという意味は、いわゆる制作費を全部自分で持っているということです。アルバムなどを作るときにスタジオ代やミュージシャンFeeなど、そしてプレス費とか。アルバムを作るのにかかる費用、それを全部うちの会社が支払ってます。大きな会社にいれば、その全部を会社が支払ってくれる。それを「原盤権」と言います。

曲や詞を作れば、著作権という曲を作った権利というものは確保されるのだけれど、CDに録音した音源の権利は、大きな会社にいてその会社が制作費を支払ってくれる限りは自分のものではないのです。それは持ちつ持たれつ、みたいな関係があるわけで、それで成り立っていることではあるんだけど。でもずっと録音した曲を自分で自由に出来ないことがいつも不思議でした。

幸か不幸か大きな会社から離れ、時代も以前よりは簡単にCDというものを作ることができるようになって、おそるおそる自分で作ってみることにしました。予算を組んだり(小さな会社でも社長には、何がいくらかかるかなんてことを書類で説明したりします)、自分で電話してみなさんにお願いしたり。そばに自分たちでCDを作っているビードローズ、リーダーの亙くんがいたことも大きかったです。これどうやってやるの?どこにお願いするの?そんなことにひとつひとつ丁寧に教えてくれました。そうやって作ったアルバムのすべては、自分の手元にあります。なんか世知辛い話に聞こえますがそんな話じゃなく、つまりそれが当たり前であってほしいということです。自分で愛情を込めて作ったものは自分で好きなように、大切に扱えるべきだなぁと今になってとても思います。

そんなこともあって、最近のアルバムは流通と呼ばれる一般のレコードショップでは扱っていないのです。自分たちのオンラインショップのみ。CDショップで流れで手に取ってもらうことはないけれど、オンラインショップに来てもらえれば、必ずあります。今のやり方に、とても満足してる。

ただ、昔のレコードショップでは、店長のおじさんたちが「この新人、いいんだよねー」と口コミで広めてくれたりしていた。そういう奇跡みたいなことをとても大切に思うから、会社だとかなんだとか難しいこと以前に、やっぱり人が心を尽くして勧めてくれることに勝るものはないなぁ、とも思っていて、なんとかそういう人たちがこの先の時代も笑っていられる方法もないものかと日々考えているのだ。


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